昨春に1DsMk3を使い始めてから思っていたことがある。デジカメの画素数と、プリンター解像度のことだ。
5Dの1200万画素と、1Ds3や5D2の2100万画素。どっちもとっくにA4にプリントするのに必要な画素数を超えているはずなのに、実際にプリントしてみると、「解像感」がまったく違うのだ。これはもう明らかに。
なんでか?
そもそもA4に必要なのは、600万画素くらいとよく言われている。これは、人間の目の解像度が200dpi程度であるというのが理由の一つのようだ。A4は250mm×300mm程度なので、だいたい10×12インチ。つまり、2000×2500画素=500万画素。このあたりが出力の限界になっている、と。また、プリンタの解像度も最大300dpiくらいで、そうだとしても3000×3600=1080万画素あれば十分ということらしい。
でも、実際には違う気がする。これが不思議だった。昨年末、あるサイトで、D700か5D2かという議論になったとき、「2000万画素を超えるとA4でも明らかに違うけどなぁ」って書いたら、「ルーペで見てるのか?」ってさんざんいじめられたんだけど、そうじゃない。2000万画素級のプリントは全体をパッと見ただけで精密感にあふれてるし、部分をじっくり見るとますます違って見える。
自分だけかというと、そうでもない。昨夏、天文ガイドに「東京都庁」が入選した際は「機材が代わって精密感あふれる描写になりましたね」という趣旨のコメントが書かれたし、以前、それまでの作品のA4プリントをよっちゃんに見てもらったときも、彼は5Dの写真と1Ds3の写真を一目で見分けた。うちの嫁も「あ~ぜんぜん違うね」というから、誰しもが感じるくらいの差だと思う。
なぜか。
プリンターの解像度について検証した記事で、日経パソコンに連載された「最適解像度の研究 」という記事がある。プリンター開発者への豊富な取材に基づいた、読み応えあるレポートである。
この記事の結論でも、基本的に「写真」の解像度は350dpiくらいで十分という。しかし、この中で、これか!という記述を見つけた。それは、「文字の感度はずっと高い」と題された部分。
いわく、「視覚限界300~400dpiは写真を前提とした話。例えば真っ白な紙に印刷された黒100%の文字や線を見る場合、人間の目の感度はずっと高くなり『数1000dpiの分解能がある』(ブラザー工業の上田氏)」というのだ。
「真っ白な紙に印刷された線を見る場合」とは、「真っ黒なバックに印刷された星の軌跡を見る場合」と同じではないのか?
また、私のように、都会でのビル群をパンフォーカスで撮るような場合、それは通常の風景写真よりも、例えば空とビルの境目のような、より線画に近い描写になっているのではないだろうか。
この記事によると、通常のインクジェットプリンタは、グラフや文字にも耐えられるように、300~400dpiを超える描写性能を持っているという。例えば、神プリンターとして有名なエプソンPX-5600は5760dpiであるし、私が使っているキヤノンのiP9910も4800×2400dpiである。インクジェットプリンタでは、ある色を表現するのに10~数十ドット必要という議論もあるが、例えそれが3×3や6×6ドットだとしても、PX-5600では400dpiの2~5倍の描写性能があるのではないだろうか?
そう考えると、仮にプリントサイズがA4だとしても、星景写真や、ビル群などを被写体にした精密写真のような場合、画素数は多ければ多いほどプリントにも反映される気がする。いずれにしろ、1200万画素と2100万画素に「明らかな差」があるのは経験上間違いない。とするならば、A3にプリントするときは、2000万画素と4000万画素にも「明らかな差」がありそうだ。
そう考えると、デジカメの画素数はまだまだ、もっとあっていい気がするのである。
画素ピッチが小さくなることによる弊害もあるだろうけど、だって、デジタル一眼のCMOSなんてまだ、裏面照射すら使ってないんでしょ? まだまだですよ。
ちなみに、キヤノンはこんな論文も発表している。APS-Hで5200万画素。フルサイズなら1億画素級である。この添付写真をみても画像の破綻はないように見えるが、驚く点は、この論文が2007年発表ということだ。やろうと思えば、なんでもできるということか。
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