グアム金環日食 Annular Airplane Eclipse in Guam on December 26, 2019
Nikon Z7, 14-30mmF4 RAW
Nikon D850 , Vixen FL102s (900mmF9) with Baadar herschel prism (1/20000)
個人的には、奈良で観測した2012年金環日食以来、海外では中国の2008年皆既日食以来となる金環/皆既日食となりました。皆既日食は大学2年だった1995年にタイに行ってまんまとはまり、1999年トルコ、新婚旅行を兼ねて2006年にリビア、そして2008年中国と遠征してきましたが、しばらくご無沙汰になっていました。今回、遠征しやすい12月末ということもあり、家族4人でグアムに行くことにしました。
ところで、昨年から半分仕事・半分趣味で、朝日新聞youtubeチャンネルで天文イベントのライブ中継をしています。2019年1月には部分日食を実家の香川からライブ配信し、その後、東京大学木曽観測所に協力頂き、流れ星ライブも始めました。なので、今回のグアム金環日食もライブ配信が最大の目的でした。
撮影場所はタモン湾に沈む夕日を望めるホテルニッコーグアムにし、回線速度を確保するためにホテルには有線LANがある西向きの部屋をリクエストしました。幸いにも希望通りの部屋に宿泊でき、望遠鏡はベランダに設置することにしました。動画用としてFOA-60QにSIGMA fpを取り付け、HDMI出力でliveshell Xからライブ配信しました。fpは並行して4K cinemaが撮影でき(これは4K2Kの800万画素で12bitRAW画像を毎秒24コマ撮影し続けられるということです)、日食撮影にはきわめて強力だということが確認できました。
静止画用にはビクセンFL102sにニコンD850を取り付け、インタバルタイマーで5分ごとにブラケット撮影しました。減光はバーダーハーシェルプリズムで2万分の1にしています。こちらはC2、C3接触で内部コロナの撮影も狙ったのですが、ピントの追い込みが甘かったようで、満足いくデータは撮れませんでした。ただ、今回は太陽活動が極めて弱い時期の日食だったため、見る限り大きなプロミネンスはなかったようです。
この結果から、いま皆既日食があるなら、SIGMA fp の4K cinemaで内部コロナとダイヤモンドリングを狙い、300mmくらいの短焦点で外部コロナをブラケット撮影するのが最適解になりそうです。もちろん、数年以内にはさらに強力なカメラが登場するでしょうから、また状況は変わるでしょうが。
ライブ配信中には、太陽と月の手前を航空機が通過するという瞬間も撮影することができました。戦略爆撃機B-52Hとみられます。グアムのアンダーセン空軍基地の所属でしょう。月や太陽と航空機の組み合わせはそれなりにありますが、部分日食中の太陽のど真ん中をほぼ同じサイズの航空機が通過するのは極めて珍しいと思います。これを見た瞬間、今回のライブ配信は神回になったと思いました。
4K cinemaは撮影前、しょせん800万画素かなとも思っていたのですが、24fpsで12bitRAWを撮影し続けられる時間分解能の暴力はすさまじく、完全にゲームチェンジャーだと思いました。ATMOSのninjaのような外部記録ツールに頼らず、usb-c接続のSSDに書き込めるのも利点です。ただ、たかがカメラ3台だった割に撮影したデータは1TBにもなってしまいました。手元のデスクトップが追い付いてこれなくなっているので、来年は大幅なシステム更新が迫られそうです。
Camera : SIGMA fp 4K cinemaDNG 24fps RAW
Mount : Vixen GPD2
Telescope : Takahashi FOA-60Q with Kenko ND100000 77mm
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