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2012/11/22

写真集「都会の星」ついに発売!

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写真集「都会の星」が発売されました。大阪・淀屋橋駅の本屋さんでは平積みされていて、おぉ~って感じ。みんな手に取ってくれるといいなぁ。

 

思えば、すべての始まりは今年3月、1通のメールからでした。

 

東京・銀座のリコーギャラリー「RING CUBE」にいた坂口さんから、gmailにメールが届いたのです。「初めまして、突然のメールで失礼致します」から始まるメールにはすでに、「都会の星空の写真展」を検討していること、この企画を受けることは可能ですか?とありました。

このブログを見て、連絡してきたというのです。正直、驚きました。

 

メーカーのギャラリーが、素性もわからない人間に、こんな体当たりで打診することがあるのかと思いました。私は天文雑誌「星ナビ」や「アサヒカメラ」などで多少、記事を書いたりしていましたが、そうした雑誌の関係者に事前に問い合わせをした形跡はありません。もちろん、私は朝日新聞の記者ですので、朝日新聞紙上に署名記事を書いていますが、あくまで記者であってカメラマンではありません。

 

半信半疑のまま、返事を出しました。

 

大変光栄ではあるけれども、そもそも作品数が30点弱しかない。それも2007~2009年と古いのものがほとんどで、最近はまったく撮っていない。それに、現在は大阪在住なので、打ち合わせが難しいし、追加の作品も関西中心になるだろうといった内容です。

 

そして尋ねました。「写真展は、いつごろの予定ですか?」

 

返事はすぐに来ました。

めどは7月だというのです。ここで再び驚きました。あと実質3カ月しかありません。イベントを企画した方はわかるでしょうが、これはちょっとあり得ないスケジュールです(まぁ、新聞社だとたまにありますが)。

 

あとからわかるのですが、このころリコーはペンタックスとの合併で、ギャラリーそのものの存続が危ぶまれていました。毎年開いていたボランティア組織「doughnuts」の企画展も、開催できるかどうかわからない状態だったのです。実際、「都会の星」写真展を開いたRING CUBEの8階は、今回で一時閉鎖になりました(9階でのギャラリーは続いています)。ぎりぎりになってようやくGOサインが出て、「最後になるであろう写真展」を開くことになったのです。

 

数回のメールのやりとりの後、坂口さんと、責任者の橋本さんらが4月の半ばに大阪まで訪ねてきて下さいました。そして、足りない作品はこれからできるだけ撮って、50作品くらいに増やすということで、「なんとなく」私の写真展は開催される方向になりました。

 

ちなみに、この橋本さんこそが、いろんなところに掛け合って開催にこぎつけさせた人物です。

初対面は30分くらい話しただけで、すぐ東京にとんぼ返りされましたが、柔和なおっちゃんという印象でした。でも、そこは私も新聞記者。「仕事には厳しそう。一筋縄ではいかんな」と思いました。そして、その読みは見事に当たります。

 

当時、私は新年度から朝日新聞大阪科学面で始まった「キセキを語る」という科学者を紹介する企画のとりまとめをしていて、初回となる4月に京都大の山中伸弥教授のインタビュー連載を書いていました。5月分の仕込みもあるなか、京都・祇園の暴走事故もあったりして、かなり崩壊気味でした。

 

それでも、スケジュールを考えると、4~6月の3カ月で20作品ほど撮らなければなりません。6月は梅雨に入ってしまいますし、月が大きい毎月の1週間ほどは撮りにくいので、実質、4月と5月の3週間ずつしか残されていなません。ざっくり40日で20作品ということは、晴れたら必ず撮りに行かなければいけないということです。

 

天気予報とにらめっこして、大型連休の初日に神戸と明石、六甲山をまわって一晩で3作品撮りました。東京出張の帰り道、晴れているのを見て名古屋で途中下車し、トップカメラでミニ三脚を買って、駅前で2作品をGR4で撮影しました。終盤には、GR4とD800、5D2を3台使い、1台設置して放置したまま2台目をセッティングし、2台目の撮影が始まったら3か所目に移動し、3台目の撮影が始まったら1台目を回収に行く・・・という技で一晩に6作品撮りました。

 

橋本さんにはその都度、進行状況を報告していましたが、撮っても撮っても「よくやった。じゃ、もっと撮ってね♪」と笑顔でぎりぎり責められました。正直このころ、会社からの帰り道が曇っていたら、「あぁ、今日は撮れないなぁ」と、うれしくて仕方なかったです。

とはいえ、4月以降の「関西シリーズ」は結局、23作品になりました。明石海峡大橋や大阪城大手門、通天閣や戎橋など、代表作になりうる作品がいくつも撮れたのは、あのプレッシャーがあったからこそと思います。坂口さんや橋本さん、そのほかRING CUBEやdoughnuts関係者の皆さんには感謝してもしきれません。

 

ライターの石井ゆかりさんとのコラボも、doughnutsのみなさんの発案です。

前述のような状況でしたので、私はコラボの提案があった時も、そのへんはもうお任せしますからよろしくお願いします。こっちはちょっとそれどころじゃないんで、という感じでした。

 

石井さんとは、写真展が始まって7月7日にトークショーがあった時に初めて会いました。

 

実は、私は石井さんの文章がどんな風になるのかまったく想像できていなくて、彼女にも写真と撮影日時、タイトルくらいしかデータを渡していませんでした。写真を見て、彼女が思ったことを書くんだろうなぁくらいに考えていたのです。

 

ところが、できあがってきたナビゲート文は「この星はたぶん、アルデバラン」とか「右上にあるのは北斗七星のひしゃくの柄」とか、写真に写っている星座や星をほとんど「解説」していて驚きました。そんなことまで、なんでわかったん?と。

 

聞くと、星の動きから撮影方向(北の空とか、星が右下に流れているから西の空だとか)を割り出し、撮影日時から写っている星座を一つひとつ調べたというではありませんか。

 

私は、ごめん! そんなことならもっと詳しい撮影データを渡しとくんだったと謝ったのですが、その根性に舌をまきました。ギャラリーでも、サインを求める途切れない列にずーーーーーっと丁寧に対応していて本当に頭が下がります。

石井さんのおかげで、写真展は、23日間の期間中に1万2494人の来場者がありました。1日平均543人という数字は、新人の写真展としてはちょっとない数字です。なにより多くの女性に来ていただけて、とかくおっさんの趣味になりがちな写真+天文というカテゴリーの写真をご覧いただけたことは、天文業界にとってもとてもよかったと思っています。

 

そして、洋泉社の編集の雨宮さんから、写真集の企画をご提案いただきました。表紙も印刷も雰囲気もすごく素敵な写真集になったと思います。重ねて感謝申し上げます。

 

写真集を作るにあたり、雨宮さんにはお願いしたことが一つだけありました。

写真集と言うと通常、数千円してしまうものですが、小さくてもいいから中高生でも買える値段設定にしてほしいということ。そして、愛する人へ、大切な友人に贈りたくなるような本にしてほしいということです。
この「都会の星」を手にしたみなさんが、そんな気持ちになってくれることを、心から祈っています。

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コメント

こんにちは。
こんなウラ話があったのですね。何にしても、多くの作品が見られて(増えて)楽しませてもらいました。一晩に6作品とか凄すぎです。
写真集も手に取ってみます。

投稿: モスッチ | 2012/11/22 15:19

当日のお話で準備が大変だったことはうかがっておりましたが、改めてその大変さがわかりました^^;

でも、そんなことを経ての写真集への結実 本当におめでとうございます

そして、早速購入しました
もしどこかでお会いすることがあればサインください^^;

投稿: びくこな | 2012/11/22 17:57

おぉ~って、三宮ジュンク堂で手に取りました!

このサイズ感もいいですね♪

「曇ってると・・・うれしくて仕方ない」
・・・そんな、タイトなスケジュールだったとは。。。
大変な思いもかみしめながら楽しみたいと思います!

そうそう、香川にも行きました!
こどもが主役の「こどもの国」・・・
大人が行くと、結構怪しまれてしまったようで
いっぱい話しかけられましたwww
そのたびに、東山さんの写真を
見に来たと言ってました(笑)

うどんは、友人行きつけの、
栗林公園近くのお店になりました・・・
教えていただいたのにすみません(^^;

石井ゆかりさんが文を書いていなかったら
今まで知らなかった
星の写真の世界を知ることができました!
ありがとうございました☆彡

大阪では、サイン会しないのですか?

投稿: ようこ。 | 2012/11/23 18:42

写真集、おめでとうございます。
予約していた写真集が、今日届きました。
大きな写真を楽しませていただいた後、今度は、手ごろな大きさの本が親しみを感じます。
コタツでゆっくり(o^-^o) 写真と文を楽しませていただきます。 

投稿: n.t.mama | 2012/11/23 20:57

みなさま

お買い上げいただきましてありがとうございます!

残念ながら、東京以外でのサイン会は今のところ予定はないのですが、直接お会いする機会があるでしょうからその時にでも。

投稿: 東山正宜 | 2012/11/24 10:26

はじめまして!
25日のサイン会に伺ったものです。ありがとうございました!
写真展には行けなかったので書籍化嬉しいです。
「千鳥ヶ淵の春」の写真が一番好きです。不思議な空の色と星と桜のバランスが何とも幻想的だと思いました。
それにしても…、怒涛の撮影だったのですね。改めてありがとうございました。
本の価格が随分と安いなあと思っていたのですが、そこには東山さんのそんな願いがあったのですね。素敵です!
では、今後も素敵な写真を撮って下さい!

投稿: ビーズオーラ | 2012/11/26 12:21

”写真集と言うと通常、数千円してしまうものですが、小さくてもいいから中高生でも買える値段設定にしてほしいということ。そして、愛する人へ、大切な友人に贈りたくなるような本にしてほしいということです。”

素敵ですね!
お財布に優しいのは、
大人も嬉しかったです(^_^;)
本当に、色んな人にプレゼントしたくなる写真集です♥

投稿: となりのまゆ | 2012/11/26 23:48

写真集、出版されて、うれしいです。
ありがとうございます。
さっそく、プレゼント用に2冊購入いたしました。
今から、差し上げる方の、喜ぶ顔を思い浮かべて、わくわくしています。
写真展では、何回も何回も、ぐるぐる、出たり入ったりして、
(混んでいた時など、ゆっくりじっくり立ち止まるの、悪いのかなあ、、、でも、見たいしなあ、、、と思って)

その時のわくわくがよみがえりつつ、
あれ?
とまた新たな発見があったりして、
どんなにじっくり見ても、もう誰にも迷惑かけてないぞ、
好きな写真が自分のものになった感じで。
本って、うれしいです。

こんなにすてきに
永遠を思わせる時間の流れを切り取った
すばらしい作品の数々ですから、
場所を選んで、何回も足を運んで、何回も取り直し、するんだろうなあ、
って、
勝手に思い込んでいました。
そんなプレッシャーの下での作品だなんて、つゆ知らず、、、。
ありがとうございました。
天文+写真=おっさんの趣味、、、、。
そうだったのですか?!
こんなにキレイなモノ、女子、大好きですよ!!
これからも、
素敵な写真を、撮ってください。


投稿: 本棚の小鳥 | 2012/11/27 06:03

初めまして。写真集おめでとうございます!
数年前に東山さんの作品をみて全くやったことのなかった”都会の星空”を私も撮るようになりました。
それ以来、大学生活のほとんどを天文に費やしてきました。いつか、東山さんのように写真集を出版できたらと思います!
写真展ももちろんおじゃまさせていただきました。

投稿: tenmonyukke | 2012/11/27 23:46

夏の写真展で、写真集を購入したものです。
確か、3500円だったのですが、印刷の具合も、なんだかな、、とは思ったのですが、、欲しかったので購入しました。
そんなことなら、待てばよかったです。。
なんだかなぁ。。。
あ、写真は素敵です☆

投稿: 星好き | 2012/11/29 15:24

みなさま

改めまして、お祝いコメントありがとうございました。
ますます精進します。


>星好きさま

それは大変失礼しました。
なんでしたら、MOOKは今回の「都会の星」3冊とお取り換えしますよ。
あれは私も1冊しか手元にないんです。いかがですか?

投稿: 東山正宜 | 2012/11/29 16:45

残念です。
そんな風に受け取られてしまったことが。
ショックです。

夏の写真展には2度行きました。
感動して夜眠れなかった。
それを家でも味わいたくて、限定版を購入しました。
正直言って、あのツクリや印刷で、3500円は高いと思いました。
わたしはコレクターではないので限定版でも普及版でも、手元で楽しめればそれでよかった。
でも限定版しかなかったので、思い切って、それを購入しました。
手元で、楽しみたかったから。手もとで感動を味わいたかったから。

コメントのお返事、かなり驚きました。
わたしの伝え方が悪かったのでしょうが、
価格のことだけとらえられてしまったようで。

たぶん、これでも、まだ伝え方が下手で、伝わらないのかもしれないのですが。

投稿: 星好き | 2012/11/30 13:11

星好き様

私自身も当時、MOOK本は高いと思いました。
3500円だと商業写真集ならA4ハードカバーくらいの大きさがあってもいいですし。


とはいえ、200部のような少部数でフルカラーでハードカバーの本を自費出版すると、それくらいはかかります。
あの段階では、今回の写真集「都会の星」の話はまだ影も形もありませんでしたので、私も、自分と、配る分の10部を買いました。


でも、印刷の色はきれいだと思いますよ。
マット印刷(ざらざらの印刷ですね)なのは好みが分かれるところですが、あれはあれでありだと思います。

MOOKは、写真展が始まる前後に記録集として急きょ製本が決まったものです。本のレイアウトや校正、申し込み受付などはすべてRINGCUBEがやってくれています。収支はとんとんだったそうですが、人件費を考えたら大赤字でしょう。


洋泉社さんが「都会の星」の出版を決めたのはもっと後になって、秋口でした。

ふつう、無名の新人写真家が商業写真集を出せるなんてありません(石井さんのナビゲートがあってこそです)。写真展の段階では、写真を収録した本はMOOKだけになる可能性のほうがはるかに高かったのは間違いないです。

投稿: 東山正宜 | 2012/11/30 17:46

やはり、話がかみ合わないようですね。
残念です。

自費出版については何も知らなかったので、勉強になりました。
でも、その説明ばかり書かれてしまうと。
ご自分側の説明ばかり書かれてしまうと。。

「それは大変失礼しました。
なんでしたら、MOOKは今回の「都会の星」3冊とお取り換えしますよ。
あれは私も1冊しか手元にないんです。いかがですか?」

やはり、このお言葉が頭から離れなくて。

もう、いいです。

東山さんに対する考え方が変わりました。
もう写真展に足を運んだり、節約中の財布からお金を出したりはしません。

今後とも、ご活躍を☆

もう閲覧しにはきませんので、安心してください。

投稿: 星好き | 2012/11/30 18:59

Mookも購入しましたが写真集も購入しました〜
東山さんはご自身の素晴らしい作品で「デジタルはアナログに敵わない」「合成写真は写真作品として邪道」という世間の既成概念を打ち破られました。

東山さんの作品のお陰でデジタルカメラの可能性が広がった事は間違いありません。
そしてその技術を惜しみなく一般に公開されています。
このように行動されている東山さんを私も微力ながら応援させて頂きたいと思います。
これからもご活躍期待しています!

投稿: marekoromo | 2013/01/31 23:19

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