« 2012年9月 | トップページ | 2013年1月 »

2012/11/22

写真集「都会の星」ついに発売!

Tokainohoshibs_2

写真集「都会の星」が発売されました。大阪・淀屋橋駅の本屋さんでは平積みされていて、おぉ~って感じ。みんな手に取ってくれるといいなぁ。

 

思えば、すべての始まりは今年3月、1通のメールからでした。

 

東京・銀座のリコーギャラリー「RING CUBE」にいた坂口さんから、gmailにメールが届いたのです。「初めまして、突然のメールで失礼致します」から始まるメールにはすでに、「都会の星空の写真展」を検討していること、この企画を受けることは可能ですか?とありました。

このブログを見て、連絡してきたというのです。正直、驚きました。

 

メーカーのギャラリーが、素性もわからない人間に、こんな体当たりで打診することがあるのかと思いました。私は天文雑誌「星ナビ」や「アサヒカメラ」などで多少、記事を書いたりしていましたが、そうした雑誌の関係者に事前に問い合わせをした形跡はありません。もちろん、私は朝日新聞の記者ですので、朝日新聞紙上に署名記事を書いていますが、あくまで記者であってカメラマンではありません。

 

半信半疑のまま、返事を出しました。

 

大変光栄ではあるけれども、そもそも作品数が30点弱しかない。それも2007~2009年と古いのものがほとんどで、最近はまったく撮っていない。それに、現在は大阪在住なので、打ち合わせが難しいし、追加の作品も関西中心になるだろうといった内容です。

 

そして尋ねました。「写真展は、いつごろの予定ですか?」

 

返事はすぐに来ました。

めどは7月だというのです。ここで再び驚きました。あと実質3カ月しかありません。イベントを企画した方はわかるでしょうが、これはちょっとあり得ないスケジュールです(まぁ、新聞社だとたまにありますが)。

 

あとからわかるのですが、このころリコーはペンタックスとの合併で、ギャラリーそのものの存続が危ぶまれていました。毎年開いていたボランティア組織「doughnuts」の企画展も、開催できるかどうかわからない状態だったのです。実際、「都会の星」写真展を開いたRING CUBEの8階は、今回で一時閉鎖になりました(9階でのギャラリーは続いています)。ぎりぎりになってようやくGOサインが出て、「最後になるであろう写真展」を開くことになったのです。

 

数回のメールのやりとりの後、坂口さんと、責任者の橋本さんらが4月の半ばに大阪まで訪ねてきて下さいました。そして、足りない作品はこれからできるだけ撮って、50作品くらいに増やすということで、「なんとなく」私の写真展は開催される方向になりました。

 

ちなみに、この橋本さんこそが、いろんなところに掛け合って開催にこぎつけさせた人物です。

初対面は30分くらい話しただけで、すぐ東京にとんぼ返りされましたが、柔和なおっちゃんという印象でした。でも、そこは私も新聞記者。「仕事には厳しそう。一筋縄ではいかんな」と思いました。そして、その読みは見事に当たります。

 

当時、私は新年度から朝日新聞大阪科学面で始まった「キセキを語る」という科学者を紹介する企画のとりまとめをしていて、初回となる4月に京都大の山中伸弥教授のインタビュー連載を書いていました。5月分の仕込みもあるなか、京都・祇園の暴走事故もあったりして、かなり崩壊気味でした。

 

それでも、スケジュールを考えると、4~6月の3カ月で20作品ほど撮らなければなりません。6月は梅雨に入ってしまいますし、月が大きい毎月の1週間ほどは撮りにくいので、実質、4月と5月の3週間ずつしか残されていなません。ざっくり40日で20作品ということは、晴れたら必ず撮りに行かなければいけないということです。

 

天気予報とにらめっこして、大型連休の初日に神戸と明石、六甲山をまわって一晩で3作品撮りました。東京出張の帰り道、晴れているのを見て名古屋で途中下車し、トップカメラでミニ三脚を買って、駅前で2作品をGR4で撮影しました。終盤には、GR4とD800、5D2を3台使い、1台設置して放置したまま2台目をセッティングし、2台目の撮影が始まったら3か所目に移動し、3台目の撮影が始まったら1台目を回収に行く・・・という技で一晩に6作品撮りました。

 

橋本さんにはその都度、進行状況を報告していましたが、撮っても撮っても「よくやった。じゃ、もっと撮ってね♪」と笑顔でぎりぎり責められました。正直このころ、会社からの帰り道が曇っていたら、「あぁ、今日は撮れないなぁ」と、うれしくて仕方なかったです。

とはいえ、4月以降の「関西シリーズ」は結局、23作品になりました。明石海峡大橋や大阪城大手門、通天閣や戎橋など、代表作になりうる作品がいくつも撮れたのは、あのプレッシャーがあったからこそと思います。坂口さんや橋本さん、そのほかRING CUBEやdoughnuts関係者の皆さんには感謝してもしきれません。

 

ライターの石井ゆかりさんとのコラボも、doughnutsのみなさんの発案です。

前述のような状況でしたので、私はコラボの提案があった時も、そのへんはもうお任せしますからよろしくお願いします。こっちはちょっとそれどころじゃないんで、という感じでした。

 

石井さんとは、写真展が始まって7月7日にトークショーがあった時に初めて会いました。

 

実は、私は石井さんの文章がどんな風になるのかまったく想像できていなくて、彼女にも写真と撮影日時、タイトルくらいしかデータを渡していませんでした。写真を見て、彼女が思ったことを書くんだろうなぁくらいに考えていたのです。

 

ところが、できあがってきたナビゲート文は「この星はたぶん、アルデバラン」とか「右上にあるのは北斗七星のひしゃくの柄」とか、写真に写っている星座や星をほとんど「解説」していて驚きました。そんなことまで、なんでわかったん?と。

 

聞くと、星の動きから撮影方向(北の空とか、星が右下に流れているから西の空だとか)を割り出し、撮影日時から写っている星座を一つひとつ調べたというではありませんか。

 

私は、ごめん! そんなことならもっと詳しい撮影データを渡しとくんだったと謝ったのですが、その根性に舌をまきました。ギャラリーでも、サインを求める途切れない列にずーーーーーっと丁寧に対応していて本当に頭が下がります。

石井さんのおかげで、写真展は、23日間の期間中に1万2494人の来場者がありました。1日平均543人という数字は、新人の写真展としてはちょっとない数字です。なにより多くの女性に来ていただけて、とかくおっさんの趣味になりがちな写真+天文というカテゴリーの写真をご覧いただけたことは、天文業界にとってもとてもよかったと思っています。

 

そして、洋泉社の編集の雨宮さんから、写真集の企画をご提案いただきました。表紙も印刷も雰囲気もすごく素敵な写真集になったと思います。重ねて感謝申し上げます。

 

写真集を作るにあたり、雨宮さんにはお願いしたことが一つだけありました。

写真集と言うと通常、数千円してしまうものですが、小さくてもいいから中高生でも買える値段設定にしてほしいということ。そして、愛する人へ、大切な友人に贈りたくなるような本にしてほしいということです。
この「都会の星」を手にしたみなさんが、そんな気持ちになってくれることを、心から祈っています。

| | コメント (15) | トラックバック (0)

2012/11/06

「都会の星」書籍化

7月に銀座・RING CUBEで開催した写真展「都会の星」の写真集が、洋泉社さんから発売されることになりました。

Tokainohoshibook

すごーい。11月21日発売予定で、すでに予約も始まっています。

写真展を開けただけでもラッキーだったのに、写真集まで声をかけていただけるとは。このご時世、写真集ってなかなか難しいですからねぇ。2012年、いい年だったなぁ(すでに回顧モード)。

写真展を見に来られなかった方も、見に来ていただけた方もぜひ。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

« 2012年9月 | トップページ | 2013年1月 »