« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »

2008/01/30

つまりこういうこと

天体写真を撮ってる人は、「低照度相反則不軌」って言葉をご存知だと思う。これは、露光時間が1秒を越えたあたりから化学変化が飽和状態になって、光が当たっているのに十分な露光が稼げなくなる(露出不足になる)フィルム特有の現象のこと。

だから、暗い天体を2時間露出しても、1時間露出の倍は写ってくれない。満足いく写を得るには、それはそれは長い露光時間が必要だったのだ。

この低照度相反則不軌を回避するために、いろんな技が登場した。例えば、コダックは103aEっていう白黒フィルムを開発した。粒子がめっぽう粗いフィルムだったけど、赤の感度が高くて、80年代にすごく流行った。藤井旭さんのカリフォルニア星雲とか、中学生の自分には印象深かったなぁ。

90年代になると、今度は水素増感って技が出てきた。フィルムを真空引きした後に水素に浸す。するとなんでか低照度相反則不軌が激減した。この技をコダックの超微粒子白黒コピーフィルム「テクニカルパン(TP)」に使うことで、天体写真に革命が起こった。

TPはISOが25程度と低感度ながら、低照度相反則不軌がないもんだから、露出すればしただけどんどん光を吸収してくれた。ISO400あたりのフィルムを使うより、はるかに赤い星雲が写って楽しかった。みんな暗室でD19(っていう現像液)を撹拌したもんだ。

ところが、デジタルにはこの低照度相反則不軌がない。そりゃそうだ。フォトダイオードだもん。電気信号は光の量に「比例」して増えてくれる。だから、2時間露出すれば1時間の倍写る。これはうれしい。

一般的なデジタル一眼はHαの感度が悪くて赤の描写が悪いけど、それさえクリアしてしまえば星雲はとにかく写ってくれるようになった。一方で、恒星の部分は光がすぐサチるという問題もおきた。恒星の部分の光量が富士山型じゃなく台形になると、「ぼてっ」とした印象になる。だから、デジタルの天体写真の画像処理では、わざわざ高輝度部分の露光量を抑えて、さもフイルム風な写り方にする「デジタル現像」という過程が必須になっている。ヘンなハナシですけど。

ところで、逆に、低照度相反則不軌がとてつもなく大きなフィルムがあったらどうでしょうか?

明るい部分はどんだけ露光しても白トビせずに階調を残し続け、新しく光が当たった部分はISO200くらいで露光してくれるとしたら?

「東京のような大都会ででも、星景写真が撮れると思いませんか?」

別にデジタルだから撮れるわけじゃない、フィルムでもできるんじゃないかと思うんです。例えば、超高感度だけど低照度相反則不軌のすごく大きいコニカのGX3200を、NDフィルターでわざわざ暗くして撮影したら? それじゃ甘いなら、T-MAX3200を+4段増感してさらに超軟調処理するのを前提に、ND400(っていう真っ黒なフィルター)を使って撮影するってのは?

できるかどうかは別として、やってみればいいと思うんですよね。それでもし都会の星が撮れたら、その写真はやっぱりすごく不思議な、それまでの常識外の写真なんだと思います。

私がデジタルを使っているのは、「結果が同じなら、過程が簡単な方を選んだ」というだけ。たまたま東京に異動になったので、ここでも撮れる天体写真を考えた結果に過ぎません。もし先にT-MAXの増感を思いついていたら、そっちを試したと思う。

もう一つ。確かにデジタルは画像加工が簡単です。が、アンシャープマスクだって覆い焼きだってゾーンシステムだって(これは違うか)フィルム時代の技術でしょ。印画紙の上に、単なる光の線を描き足すなんて簡単なことですよ。印画紙の露光中にわざと暗室の電気をつけるんだから。ソラリゼーションするために。

それを、デジタルで撮影しているというだけでCGみたい、って、特に、フィルムにこだわってらっしゃる方はおっしゃいますけど、何度でも言います。過程が簡単なほうが楽っちゅうだけです。

私も、今でも、引けない場所でえぐいアオリを使わないといけない建築写真を撮れって言われたら、迷わず4×5か8×10の大判を使います。だって、そっちのほうが楽なんだもん。カメラって、写真を撮るための「道具」じゃないんかなぁ?

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/01/28

お台場を横切る冬の大三角

お台場のこちら側から撮ったろうと思いつつ、いざカメラを向けてみると想像以上にオリオンが高い。最広角側の16mmを使うことになってしまった。

キヤノンの16-35mmは、II になって周辺画質がかなり改善された。F5.6 まで絞ると、ピクセル等倍まで文句ない描写を見せてくれる。ただ、このクラスの広角ズームは、ニコンの14-24mmが出色の出来らしい。なんでも、開放から周辺部まで点像なんだとか。うぅむ。5Dと16-35II を手放して、ニコンに戻ろうかな・・・

Orionatdaiba_2 

  • 2008/1/27 20:45 -> 21:25 total 40min
  • CanonEOS5D, EF16-35mmF2.8L USM II (16mm), ISO200, 6sec, F5.6, 378frames
  • GITZO 1329MkII, JTT MyBatteryRxp, TC-80N3

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/01/18

GN-170自動追尾システムの統合電源を作る

あんなにシンプルなGN-170なのに、オートガイド化の何がいやって配線がごちゃごちゃするのがイヤ。数えてみたら、

  1. 赤道儀コントロール回路用に12V入力
  2. そこからガイドウオークに伸びる電話線
  3. ガイドウオークからPCへのUSBケーブル
  4. ガイド用ウェブカメラからPCへのUSBケーブル
  5. キヤノンEOS40D改からPCへのUSBケーブル
  6. 40D用の電源8V入力
  7. ここまできたらGNも外部バッテリーで駆動したくなるから7~12Vの入力

と計7本もありやがる。これに、これまでは使っていなかった赤道儀のコントローラーと、12VのディープサイクルバッテリーからPC電源を確保する12V→15VのDC/DCコンバーターも必要。イヤすぎる。こんなん、間違いなく闇夜で足を引っ掛けるよ。

こうなるのが分かってたからこれまでやらなかったんだけど、やると決めた以上はしょうがない。なるべくすっきりさせたる。で、こんなん作っとった。

Den1

12Vの電源から、12Vと8Vと8Vを取り出す回路。奥にあるのは、20D~40Dや5D用の電源アダプターDR-400を1.3mmΦのDCカプラーに改造したもの。

Den3

このカプラーサイズは、JTTのマイバッテリープロ/エキスパートnに合わせてある。その左から出ているもう一本がGN-170の電源用8V。右横から出ている短いDCカプラーが、赤道儀コントロールユニット用の12V出力である。これでディープサイクルバッテリーからの入力配線は1本で済む。すばらしいいいいいいぃぃぃいぃぃっ!!

8Vがちゃんと供給されているかどうかは、LEDで分かるようになっている。このLEDが点いてる限り、12Vも出力されている。

Den2

半田が下手で恥ずかしいので、中はあんまり見せたくないんだけど、フタをあけるとこんな感じ。無駄にでかいコンデンサがついてるのは、おまじないみたいなもん。バッテリーから12Vを入力させる限りは必要ないものです。

Den5

そして、この三端子レギュレータが12Vから8Vを取り出すキモ。

Den6_2

ナショナルセミコンダクタ製LM350である。抵抗の選択によって出力電圧を好きに変えられ、最大3Aまでいける高性能。すてきです。

基本回路はこんなカンジ。これのVoutのところに十分な抵抗とLEDを取り付ければ、夜中でもまぶしくないくらいに光量を絞れます。

Den7

しかし、簡単な回路のクセに、作るのには一晩かかった。これらの設計を勉強するのに、なんだかんだで3ヶ月かかった。秋葉原にも4回くらい通った。我ながらようやる・・・。でもま、ぶっちゃけ秋月電子のLM350キットなんですけどね。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008/01/11

IBM HDD 20.5GB

我が家は季節外れの大掃除中。捨てても捨ててもいろいろあってなかなか進まないのだが、まぁ、なんとか掃除機がかけられるところまでは行った。

その途中で発掘されたのがIBMのHDD、20.5GBである。こいつは99年か00年に私が初めて自作PCを組んだときに使ったモノ。当時はこの中に Windows98SE と VineLinux2.0 を入れて、仕事(研究)の時には Linux 、遊びたくなったら Windows と切り替えて使っとった。ちなみに当時のマシンスペックは、デュアルCerelon 300MHz を 500MHz にクロックアップ、メモリーは128MB×2というもの。今考えても硬派すぎて泣けてくる。

Hdd1 

その後、OSはXPに、HDDもATAがS-ATAとなり、このHDDは外付けケースに移されて、データを持ち運ぶのに使われていた。かれこれ8年。特に不具合も起こさず、さすがは天下のIBM製である。

それでも、いまどきCFすら16GBなわけで、ただでさえ転送速度の遅いATAはストレスが溜まるばかり。その後メーンマシンから120GBのHDDが追い出されるに及んで、ついにほこりをかぶる羽目になっていた。所有者として、これは大往生させてやるのがスジというものだろう。

HDDのデータは、例えフォーマットをしたとしても、本気になったら復旧させられる。20GB分の無意味なデータを上書きしてしまうのがよいが、それでも復旧させられるという意見もある。結局、物理的に破壊してしまうのが最も手軽だ。

Hdd2

長年の働きに感謝しつつ、ドリルで数箇所、穴を開けた。これでもFBIあたりなら復旧させられるかもしれんが、まぁ十分だろう。壊れずに、その使命をまっとうできるHDDは幸せである。それは所有者にとっても幸せな話だ。かくも、HDDだけは、信頼性の高いメーカーのものを、容量に余裕を持って使うのに限る。

| | コメント (13) | トラックバック (0)

2008/01/10

新兵器の名は40D

あまりに技術革新が早くなって、旧世代の機種じゃ太刀打ちできん。

というのも、最近までなんで皆がそんなにノイズノイズって気にするのかが分からんかった。星景写真なら、比較(明)コンポジットにすれば露出は長くても数分までだし、わざわざ失敗する可能性の高まる長時間一発撮りなんてしなくていいんじゃないかと。

星野写真でも、どうせRAWで撮影するんだからISOを高くしても意味ないし、熱カブリしない程度の露出時間で止めておいて、後から加算コンポジットすればえぇんじゃないかと思っとった。

ところが、エグい写真を撮っている方々は、ISO1600で30分露出とかをやっている。ノイズも出るやろうに、なんでわざわざ・・・??

最近知ったところによると、これって、後からデジタル処理でレベルを上げる(ISOを高めるのと同じ)とトーンジャンプが起こるけど、ISOで「機械的」にゲインさせれば階調がリニアに残る(ノイズが乗り易くはなるけれども)って理由だったんですね。

なるほどなぁ。そりゃ、一眼デジカメも冷却したくなるわけだ。趣味人で売り出した30万円の冷却40Dは初期ロットの10台が一瞬で売り切れたというし、確かに一発でカラー画像が撮れる14bit処理の冷却一眼は魅力的。

でもま、今はまだ冬だ。ほっといても0℃前後まで冷やされる。ってことで、20Daを手放してHα改造40Dを手に入れた。ノイズリダクションを取っ払った、より硬派なSEO-SP2モデルだ。こいつとEF300mmF2.8Lの明るさで、世界変えちゃる。

40d1

ところで、1D系マーク3と40Dの魅力は、その多機能なライブビューにある。これは昨年11月、長野のしらびそで、Fさんに実践してもらって衝撃を受けたのだが、PCからのリモートコントロールで、MFを1ステップずつ動かせるのである。これはすごいよ。ピントが実際の焦点面で確認できつつ、最小ステップでリモートフォーカスができるとは! 私のような面倒くさがり屋にはたまりません。

40d2

<<  <   >  >>  ってキーをクリックするだけでレンズが「クックッ」って動く。キヤノン純正のEFレンズだけじゃなく、シグマのレンズでも大丈夫。フォトショップCS3も手に入れたし、今年は久しぶりに星野写真に気合入れます。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2008/01/08

写真は静止画を超えて

うちのページを紹介してくださった方がおられ(ありがとうございました)、大量コンポジット星景写真にも挑戦されているようです。

私も、この撮影方法について、初めて挑戦される方の助けになるページを一度まとめなければいけないなぁとは思いつつ、自動コンポジットをしてくれるプログラムのことがネックでできずじまいでいました。

というのも、私はフリーソフトの ImageMagick という画像処理ソフトで比較(明)合成をしているのですが、こいつを自動で走らせるプログラムは知人に作ってもらったため、公開しづらかったのです。(製作者本人は喜んで公開させてくれるでしょうが、様々な環境下でのサポートを私ができないというのが大きいのです)

ところが、asukaさんという方が、同様のプログラムをつくって公開されていることを、上記のHPで知りました。勝手ながら、紹介させていただきます。

asukaさんはまた、星の写真をうまく重ね合わせて、星が軌跡を描く動画もつくられています。これがまたステキ。以前、こんなCMがありましたね。私もこういうの、やってみたかった。やられた~っという心地よい脱帽感でいっぱいです。

さらに衝撃を受けたのはこちらのブログ。1枚の写真としても完成度が高いのに、それがさらに動画。BGMもあって、見てるだけで泣きそう。でかいスクリーンで1時間くらい、エンドレスで見ていたいです。

星空の動画なんて、ちょっと前まで、NHKのスーパーハープカメラ(だっけ?)じゃないと撮れなかったけど、デジカメとコンピュータの進歩で一般でも急に可能になりましたね。2008年は冷却一眼デジカメの年だと思ってたけど、動画も重要な要素かもしれないなぁ。特に、夏の皆既日食なんかは対象として面白そうです。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

« 2007年12月 | トップページ | 2008年2月 »